子どもが成長してくると
え! そんな言葉、どこで覚えてきたの?
とびっくりすることありませんか。わたしも娘の言葉に驚くことがたびたびあります。幼児が知っているはずのないむずかしい単語を使ったり、保育園で流行っているんだろうな~という言葉を連呼してみたり。わたしの母親(娘からしたら祖母)の口癖をコピーしている姿には、ちょっとおそろしくなりました。
子どものコピー力、あなどってはいけません!
「子どもの言葉遣いが気になるけど、どう注意したらいいのか分からない」
「反抗的な言葉には、どう返したらいいの?」
など困っている方もいるのではないでしょうか。そこで、今日は、家庭でできる「言葉かけ」と「会話」の大切さをお伝えします。小学校教員とチャイルドコーチングの経験をもとに、自分の子育て経験を交えながらお伝えしていきます。子どもの「言葉」と向き合うときに大事にしていることを紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
親の言葉を子どもはまねる。子どもに注意する前に、自分の言葉遣いを見直そう。
言葉の習得のプロセスは、「聴く・聞く」ことから始まります。それを「まねる」ことで、言葉を覚えていきます。以前、外国語習得のプロセスについてお伝えしたことがあるのでは、気になる方はこちらをご覧ください。
よく、「子どもが自分の口癖をまねするようになってはっとした!」というお母さんの声を耳にします。わたしも立ち上がるときに「よいしょ」とか言っちゃうんですけど、娘はちゃんとまねしてします。そんなちょっとした言葉もコピーしてしまう「子どものコピー力」って、すごいものです。
子どもの言葉遣いで気になるものがあったとき、
自分の言葉は大丈夫かな?
無意識で使っていることはないかな?
と自分自身の言葉遣いを見直すようにしています。もちろん、子どもが大きくなればなるほど、親以外から受けとる「言葉」もたくさんキャッチするようになります。でも、生まれて一番はじめに「言葉」を伝えるのは、親ですよね。親の言葉をたくさん聴いて(聴いて)、子どもは言葉を覚えていく。
その言葉がネガティブなものやチクチクしたものばかりだったら、子どもは「言葉というのはそういうもの」だと認識していくことでしょう。コミュニケーションをとるときにも、そういった言葉を発することになります。言葉の「いい、悪い」ではなく、ただ「言葉を知らない」「表現方法を知らない」だけという子もいます。
言葉遣いもそうですが、親の「言葉かけ」はとても大切だと感じています。自己肯定感は、親の「言葉かけ」が大きく影響すると思います。子どもが前向きになるような「言葉かけ」、温かい「声かけ」は、子どもの心の安定にもつながります。そして、親の「言葉かけ」から学んだ子どもは、その温かい「声かけ」や「言葉」を、今度は友だちや周りの人に伝えていくことができるようになります。
子どもの言葉遣いには「敏感」になろう。聞き流すとそれは日常になる。
子どもが成長していくと、生活する範囲も広がり、出会う人も多くなります。それに伴って、自然と出会う「言葉」も多くなります。親がいくら言葉遣いや「声かけ」を意識しても、子どもの世界はどんどん広がっていきます。
「言葉の乱れは心の乱れ」という言葉は、教員時代からよく子どもたちに伝えていたものです。心が乱れてくると「言葉」も乱暴になったり、「会話」が成り立たなくなったりすることもあります。
つまり、子どもの「言葉」に敏感になることで、子どもの「心」の変化に気づくことができるんです。
自我が芽生えてきた時期なのかもしれないし、何か悩みがあるのかもしれない。疲れてイライラしているのかもしれないし、うまく伝えられない思いがあるのかもしれない。
子どもは大人のように、自分の思いをまだうまく言葉にできません。また、大人のように、気持ちのコントロールをすることもできなくて当たり前です。コントロールし過ぎて、我慢し過ぎて気持ちを抱え込んでしまう方が心配です。
うまく言葉にできない思いが、反抗的な「言葉」や投げやりな「態度」になって表れることがあります。それに気づき、寄り添ってあげられるかどうか。それは、言葉に敏感になっていなくてはできないことだと思います。
「あれ?いつもとちょっと違うな」「ちょっと言葉が荒れているな」という小さな変化に気づいたら、声をかける。ここで声をかけずにスルーしてしまうと、ずっとイライラが続いたり、問題を一人で抱え込んだりしてしまうかもしれません。
小さな変化に気づいて声をかけることで、子どもは親が「ちゃんと見てくれている」ことを実感します。そのときにはすぐにうまく話ができないとしても、「いつでも話を聞いてくれる人がいる」という存在は、子どもの心の支えになります。
気になる変化が見られたら、「どうした?」「何かあった?」と声をかけるだけで、子どもの心が軽くなることがあります。反抗的な「言葉」や「態度」を責めるのではなく、その奥にある気持ちに寄り添うことを、親になった今も大切にしたいと思っています。
子どもは新しい言葉を使ってみたがるもの。使ったことを否定せずに、きちんと意味を伝えよう。
幼児から小学生の低学年くらいまでは、いろいろなものに興味がある時期です。新しいものにも敏感に反応します。新しい「言葉」やおもしろい音やリズムの「言葉」も大好きです。
親としては使ってほしくないと思うような「言葉」でも、子どもからしたら「おもしろくて仕方ない!」ものということもあります。
その言葉、はずかしいからやめてほしい~!
そんなときは、否定するのはNG!否定すればするほど、使いたくなるのが、子ども心。ダメといわれるとやりたくなるってこと、ありましたよね?それと同じです。
うちでは、否定はせずに、意味をきちんと教えるようにしています。はずかしくなるような言葉の場合は、その意味を分かった上で「それでも言いたくなったらどうする?」と子どもに聞きます。我が子は「小さい声でいう」とか「おうちだけにする」とか自分で考えていました。まぁ、きっと保育園でお友達と大声で叫んだりしているんだろうけど…人を傷つけるわけではないので、成長の過程と思って見守っています。
聞いている人を不快にする言葉や傷つける言葉の場合、意味を教えたあと「意味を知ってどう思った?」と聞くようにしています。「言われた人や聞いた人はどんな気持ちになるかな?」と尋ねます。そして、「もし誰かに自分が言われたらどうかな?」と立場を変えて気持ちを考えます。最後に、
同じ意味でも、違う言い方あるかな?
こんな伝え方もあるよ。
と、別の表現方法がある場合には伝えるようにしています。相手の気持ちを考えるだけだとどうしても、「ダメ」とか「注意された」いう印象が残りやすい。そこで、最後には「こういえばいいんだ」というプラスのイメージをもてるようにすると効果的です。(今までの経験上なので、すべての子どもにあてはまるとは限らないのですが…)
家族の会話を大切にしよう。話したくなる環境を!
日々の忙しさを理由に、なかなか家族(親子)で会話する時間がもてない方もいるかもしれません。実はわたしもそうでした。
教員時代、家に帰れば『夕飯の支度、食事、お風呂、次の日の準備、歯みがき、寝かしつけ』これを2時間で終わらせることだけに追われていました。会話よりも「はやく、はやく」「時間がないよ」「次は○〇して」ばかり。今から思うと、反省しかありません。でも、あのときはそれが精いっぱいだったんです。
今は、少し時間(約30分)に余裕ができ、子どもも自分でできることが増えたので、だいぶ心にもゆとりが生まれました。そして、ご飯のときは音楽をかけながら、その日あったことを話したり、お風呂で保育園ごっこやプールごっこをしたり、寝る前は「言葉遊び」をしたり絵本を読んだりしています。
「会話」を意識するようになって大きく変わったことがあります。それは、娘からいいことも悪いことも話すようになりました。失敗した話や困ったことなども、自分から話すように。
聴いてもらえると分かれば、子どもって話したいんだな。
今までは親に余裕がなさ過ぎて、娘は我慢していたんだな。
ごめんよ、我が娘~
家族の中で「会話」をする。あたり前にできそうなことなのに、できていませんでした。どんなに忙しくても、食事の間だけ、お風呂の時間だけ、寝る前の10分間だけでもいいので、「会話」の時間をしっかりつくることの大切さを実感しました。
職場では自分の代わりができる人はいるけれど、子どもにとっての母親は自分だけ。誰にも代わりはできません。親子の「ちょっとした会話」で、子どもが変わることがありますよ。
【まとめ】コミュニケーション力の土台は「家庭の中」で育まれる
「言葉遊び」で語彙を増やし、「言葉かけ」と「会話」でコミュニケーション力を育む。
これは「家庭」だからこそできることです。
子どものときに培われたコミュニケーション力の「根っこ」は、学校や社会に出ていろいろな人とかかわりながら、「芽」を出し、「茎」を伸ばしていきます。外に出れば、いいことばかりではありません。友だちとけんかをしたり、嫌な思いをしたりすることもあるでしょう。時には、自分の言葉で誰かを傷つけてしまうことがあるかもしれません。
でも、家庭に「コミュニケーションの土台」があれば、「言葉かけ」と「会話」で栄養補給したり、子ども自身が自分の「言葉」の使い方を見直したりすることができるはずです。
えらそうなことを言っていますが、子育てはうまくいくことばかりではありません。うまくいかないことの方が多いです。わたしも反省ばかり。
でも、「ここは!」という大事にしたいものをはっきりもっていることは大切だと思います。失敗しながら、反省しながら、子どもと一緒に成長しながら「親」になっていく。子どもにとって「親」は自分しかいないということだけは忘れないようにしたいですね。
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