夏になりました。多くの子どもたちは「水遊び」が大好きですよね。
でも、中には「水が苦手」な子もいるのではないでしょうか。苦手なものは誰にでもあります。実は、我が子も3歳まで「顔に水がかかるのを嫌がる子」でした。
2歳児クラスのときは「保育園の水遊びも見学」なんてこともありました。もちろんお風呂でも、顔に水がかかると手ではたきまくり。赤ちゃんのときに、水でこわい経験をしたわけでなくても、「水が苦手」ってあるんですね。
教員をしていたときも、水が苦手な子はけっこういました。顔を水につけられない子も。そんな子どもたちと水泳学習をしていると、ふと思うことがありました。
泳ぐ練習よりも大事なことがあるんじゃないか!?
水の中でおぼれないこと。水に浮いていられること。
「もしものときに命を守ること」を教える方が大事なのでは?
さらに、水が苦手な我が子を見て確信しました。
水が苦手な子には、泳ぐよりも大事なことがある!
そこで、今日は「水が苦手な子が命を守るために身につけておきたいこと」と「その方法」を具体的にお伝えできればと思います。これは、水が苦手な我が子で実践したことです。
5歳になった今、娘は「水が苦手」を克服し、顔に水がかかっても大丈夫になりました。「水が苦手な子で悩んでいる」「どうやって水慣れさせたらいいかわからない」という方のお役にたてれば、うれしいです。
水が苦手な子でも、命を守るために身につけさせたい3つのこと
①おぼれてもパニックにならない「こころ」
水が苦手な子は、水が顔にかかっただけでもすっごく嫌がります。もし、このまま、海やプールで足がつかなかったらどうなるか。間違いなくパニックになるでしょう。パニックになることは、一番こわいことです。
そのために、普段から水に慣れておくこと。顔にかかっても平気になっておくこと。そして、水のこわさをできる限りとりのぞいてあげることが大事だと思います。
「水って顔にかかっても平気だよ。水って楽しいよ」という経験を少しずつ重ねていくことが大切。そのステップをとびこえて、あわてて泳ぐ練習をさせてしまうと「水へのこわさ」が倍増してしまうこともあるので、気をつけましょう。
焦らず、スモールステップで水と仲良くなっていくのがポイントです。水と仲良くなる方法は、のちほど紹介します。
②水の中では浮くことができるという「体験」
水の中で浮くことが分かれば、「水へのこわさ」は少なくなります。でも、水が苦手な子が、苦手なまま泳ごうとすると、どうしても体に力が入り、浮くことができません。「水の中では沈む」経験をしてしまうことになるんですね。
そこで、「水の中では浮くことができる」という体験をたくさんさせてあげるのが○! はじめは、浮き輪を使ってOK。浮き輪があれば浮く経験も、「水へのこわさ」が減ります。
慣れてきたら、浮き輪なしで親が支えて浮かせてあげるといいでしょう。はじめは、こわがるかもしれないので、親が抱っこやおんぶをして体を密着させてあげると安心します。
仰向けでぷかぷか浮くように、お姫様抱っこもいいですね。とにかく、リラックスして「浮く体験」をたくさんすることが効果的です。「力をぬけば、ぷかぷか浮くんだ!」と分かれば、「水へのこわさ」もやわらぎます。
また、万が一、足がつかないような場所に行っても、「力をぬけば浮く」ことが命を守ることにつながります。
③身の回りで水に浮きやすいものを「知る」
小学校でも「着衣泳」といって、洋服を着たまま水に入ったときの対応方法を学びます。ただ、天候によって、また学校事情によっては実施していないところもあるかもしれません。
水の事故を防ぐために、わたしはこの「着衣泳」の体験はとても大事だと思っています。水泳学習よりも大事なのではないかと。学校の「着衣泳」だけでなく、日頃から親子で学んでおくことが必要だと思います。
「着衣泳」の学習では、洋服を着たまま水の中に入るとどうなるのかを体験します。そして、身の回りにあるもので浮く体験もします。
ペットボトルをおなかに抱えるだけで浮くこと、洋服の中に空気を入れるだけでも浮袋の役割をすること、など体験を通して学ぶことができます。
そういった経験をしておくことで、自分の命を守ることにつながります。命を守る方法を知っているかどうかで、もしものときの対応が大きく違ってくるはずです。
では、実際に、どんな方法で「水が苦手な子」に接していけばいいのでしょう。我が子でおこなった方法を紹介していきたいと思います。
水が苦手な子は、まず水で遊ぶことから始めよう。
1歳くらいから、娘は水が顔にかかると手でふいたり、タオルを探したりしていました。その姿を見て
あ~、この子は水が苦手なんだぁ
と思いました。
まずは、水がかかっても平気になるように、とにかく水遊びをしました。冬場はお風呂の中でも遊びました。顔にかかるのが嫌なのはわかっているので、体に水鉄砲をかけたり、シャワーをかけたり、シャワーの下をくぐったり。嫌がる顔には水はかけないようにしました。
顔が苦手だからといって、焦って顔にかけて慣れさせようとするのはNG。また、顔にかかってもすぐにふけるようにタオルを置いておくと、子どもは安心します。
そのうち、自然とタオルは不要になっていきます。大切なのは、焦らないことです。
顔に水がかかっても平気になったら、湯船遊びをしよう。
顔に水がかかっても平気になってきたら、湯船をつかって遊びます。親が顔をつけたり、もぐったりする姿を見せるのが効果的でした。
さすがに、はじめから子どもが顔をつけるのはむずかしい。でも、顔をつけるのをまねしたがったら、洗面器を使うといいですよ。湯船よりも水の量が少ないので、チャレンジしやすいはずです。
だんだん慣れてきたら、「あごまで沈んでみよう」「鼻の下まで沈んでみよう」「目の下まで沈めるかな」とゲーム感覚でステップアップしていくといいですね。親と一緒にやると、子どもは「やってみたい!」と思うようです。
また、うまくできなくても、チャレンジしたことを認めてあげることが大切です。苦手意識をとりのぞくことも、「水へのこわさ」の克服には重要です。
洗面器で顔タッチができたら、シャワーで遊ぼう。
洗面器で顔タッチができたり、湯船で鼻の下や目の下まで沈めるようになったら、シャワーを頭の上からかけて遊びましょう。目にかかるのを嫌がるようなら、目はタオルでおさえてもOK。「頭の上からシャワーがかかっても、大丈夫」だと体験することが大切です。
そのうち慣れれば、タオルがなくても大丈夫になっていきます。
うちの娘の場合、ここに来るのに2年間くらいかかりました。プールの時期が終わっても、毎日のお風呂で続けていました。
5歳になった今、顔に水がかかるのはまったく問題なくなり、シャワーも頭の上からジャージャー浴びています。最近は、「もぐれるようになった!」と喜んでいます。
水が楽しいことが分かれば、大成功!プールで浮いてみよう。
プールで浮く経験も大事です。塩分があるので、海水の方が浮きやすいですが、安全面から考えてもプールがおすすめです。
「顔に水がかかるのはいやだけど、プールはこわくない」という子は、どんどん体験させるといいですね。
まずは浮き輪で浮くこと。親が支えてあげましょう。こわがるようなら、抱っこやおんぶ、お姫様抱っこもおすすめです。最終的に、浮き輪がなくても、仰向けで浮くことができれば大成功です。はじめは、親が腰を支えてあげてくださいね。
力が入るようだとどうしても沈むので、ビート板を腰にあてたりしてもいいと思います。「力をぬく」これが「浮く」近道です。
身の回りの「浮く」ものを探そう!
浮き輪やビーチボールなどで浮く体験をしたり、ラッシュガードの中に空気を入れてもぷかっと浮くことを体感したりしましょう。ペットボトルをおなかにかかえても浮きます。
身の回りで「浮く」ものを探してみてもいいですね。科学の芽を育てることになるかもしれません。
【まとめ】泳ぐのはここからでOK。泳ぎ方よりもいかに長く浮いていられるかが大事!
以前、「着衣泳」の授業でお世話になったライフセーバーの方が「おぼれたときには泳がなくていい。とにかく浮いていてください」と言っていました。「下手に泳ごうとすると、体力が奪われてしまう=命の危険につながる」のだそうです。
もちろん、泳げないよりは泳げる方がいい。でも、命を守るという視点では「浮く」ことが大事なんです。
「水が苦手な子」「水は好きだけど、泳ぐのが苦手な子」もいると思います。
命を守るためには「泳ぐ」よりも、まずは「浮く」ことを教えよう!
極論、泳げなくても浮いていられればいい! 焦らず、スモールステップで水と仲良くなりましょう。水遊びが大好きな子には「水は楽しいけれど、危険でもある」ことも、しっかり教えたいですね。
泳げる人でもおぼれることはあります。どんなに気をつけていても、事故にまきこまれてしまうことも。でも、子どもの命を守るために、親ができることがあるのなら、そこはしっかりやっておきたいと思っています。
「できることを少しずつ」、子どものペースに合わせて、水と仲良くなっていけたらいいですね。よかったら、参考にしてみてください。
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