二人目の子が生まれたら…大事にしたい「上の子ケア」 元教員がアドバイス

子どもとの接し方

「弟や妹が生まれます」

教員時代に保護者の方から連絡をもらうことがありました。誕生前はそれほど大きな変化は見られませんが、生まれたあとに落ち着きがなくなったり、イライラしたり、それまでとは違う様子を見せる子が少なからずいます。

「お兄ちゃん・お姉ちゃんになった子の宿命」とスルーしてしまうと、のちのち影響が出てくることも。

そこで、今日は「下の子が生まれたら大事にした上の子ケア」についてお伝えできればと思います。生まれてからずいぶんたっていても大丈夫!いつからでも始められます。参考にできるものがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。

大事にしたい上の子ケア① 愛情は半分にはならない!

下に妹や弟が生まれると、上の子は「愛情が半分になっちゃった」と感じることがあるようです。今まで、母親の愛情は自分にだけ向いていたものが、そうではなくなるのだから、そう感じるのも自然なことかもしれません。

生まれる前から「下の子が生まれても、大好きな気持ちは変わらない」ということを伝えておくといいですね。赤ちゃんが生まれたら、どんな生活になるのか。説明してわかる年齢であれば、事前に説明してあげるといいと思います。

赤ちゃんが生まれたら…不安なことはないかどうか、聴いておくのもいいですね。生まれたあとだと、なかなかじっくり話す時間をとるのはむずかしいと思います。

生まれてからずいぶんたっている場合でも、「大好きな気持ちは変わらない」ということは伝え続けることが大切です。特に幼児から低学年のうちは、言葉で伝えないと伝わらないことも多いです。言葉と同時にスキンシップも大切にしてあげてくださいね。

大事にしたい上の子ケア② 短い時間でもママを独占

生まれたあとのお母さんは、本当に大変!でも、赤ちゃんのお世話は、母親じゃなくても代わりができることもあります。周りの力を借りられる環境ならば、できるだけ周りに助けてもらい、上の子との時間を意識してみてください。

上の子にとっては、ママを独占したい気持ちが必ずあります。ここでうまくケアをしないと「ママをとられた」という気持ちが生まれてきてしまうことも。

赤ちゃんを抱え大変な中だと思いますが、一日一回でもいいので、ママを独占できる時間を作ってあげてください。お風呂に一緒に入るでもいいし、寝る前に一緒に布団に入っておしゃべりするのでもいい。ひざにのせて読み聞かせでもいいですね。肌が触れ合うような距離で、ゆっくり二人だけの時間を作るだけでも、子どもの心は満たされます。

その独占時間だけは、絶対に赤ちゃんには意識が向かないような工夫も必要です。

大事にしたい上の子ケア③ 上の子だから…を理由にしない

「お姉ちゃんだから」「お兄ちゃんだから」という理由で我慢している子はけっこういるものです。確かに日常生活の中で、我慢せざるを得ない状況もたくさんあることでしょう。でも、我慢していることを親が自覚しているかどうかで、ずいぶん子どもの気持ちは違ってきます。

子どもにとって「お姉ちゃん」や「お兄ちゃん」になったことは「好きでなったのではない」こと。それを理由に、我慢したり怒られたりするのは、あまりに理不尽です。「上の子だから」を理由にするのではなく、子どもにとって納得のいく理由をきちんと説明することをおすすめします。

家で我慢していることが多いと、家の外(学校など)で発散する子も多くいます。我慢していることをうまく伝えられない、伝える機会がないという子も実際にいました。ぜひ、子どもの話を(それがたとえ、言い訳にしか聞こえないとしても)じっくり聴いてあげてくださいね。

大事にしたい上の子ケア④ 上の子だから…と強要しない

「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」こうしなくてはならない。

これって、大人にもあてはまると思うんですが、けっこうプレッシャーになりませんか。「○○でなければならない」という目に見えないプレッシャー、言葉にしなくても子どもは感じとっています。もちろん、社会的にやってはいけないこと、人として間違ていることはきちんと伝えていく必要はあります。

でも、それは「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」とは関係ないこと。「上の子だから、こうしなくてはならない」というものは、子どもにはあまりいい影響を与えないように思います。

大人もそうじゃないですか?「母親だから、こうしなくてはならない」「女だからこうでなければならない」そういう時代は終わりつつあるのではないでしょうか。

これからは「○○だから、こうしなくてはならない」という枠から解放されていく時代。それは子どもも同じです。お兄ちゃん・お姉ちゃんに限らず、弟・妹にも同じことがいえますね。

大事にしたい上の子ケア⑤ ちょっとした秘密を共有

これは、今まで出会ったお母さんの一人で「すてきだな」と思った方の実践です。

下の子が生まれて、どうしても下の子にかかわる時間が増えてしまい、上の子にさみしい思いをさせていると感じていたそう。分かってはいるけれど、なかなか上の子ケアができていなかったとき、ふとはじめた「二人だけの秘密」。これがすごく効果的だったというんです。

そのお母さんは「上の子と二人でチョコレートを食べた」というのですが、こっそり秘密で食べるだけで、上の子はとっても喜んだそうです。「ママと自分だけの秘密」がとてもうれしかったんだと思います。

これって、いろいろアレンジができるもの。時々下の子をあずけて、上の子と二人だけでお出かけするのもすてきですね。どこにいって何をしたのか、もちろん秘密。家の中で、二人だけの秘密の遊びをしてもOK。

「秘密」っていうだけで、子どもはワクワクするものです。そして、それを大好きなママと共有することで、「自分は特別なんだ」という気持ちがわいてくるんだと思います。わざわざ「秘密」にしなくても「特別感」を得られるのであれば、もちろん秘密にしなくても大丈夫ですよ。

でも、「秘密」って言葉は「魔法の言葉」。子どもの目がキラっとするものです。まぁ、ほとんど「秘密」っていっても、言いたくなっちゃうのが子どもなんですけどね。

大事にしたい上の子ケア⑥ 小さな変化をしっかり見る

出産後には、できるだけ上の子の様子をよくよくみてあげることをおすすめします。また、家の中の様子だけでなく、学校の様子も気にしておくと〇!

学校の先生に連絡帳などでお願いしておくといいでしょう。「下の子が生まれたので、学校で何か気になることがあれば教えてください」と書いておくと、担任の先生は意識してみてくれると思います。

「あまり話さなくなった」「ゲームばかりするようになった」「今まで丁寧に書いていたノートの文字が雑になった」「宿題をやらなくなった」

など、小さな変化に気づいてあげられるようにしましょう。そして、家でも学校でも、何か変化に気づいたら、時間をつくって話を聴いてあげてください。何か話したいけど話せないことがあるのかもしれません。知らない間に我慢していることがあるのかもしれません。聴いてあげるだけで改善することもあります。

「自分のことをちゃんと見てくれている」という安心感が、子どもの成長には欠かせません。小さな変化は小さいうちに対応が大事!小さい変化を見過ごしてしまうと、問題が大きくなっていくこともあります。

【まとめ】時間をかけて現実を受け入れていく。子どもの気持ちを優先しよう!

はじめての出産後、「母親」になることに試行錯誤した方もいるのではないでしょうか。わたしも、そんな一人です。分からないこと、できないことばかりで、周りのママたちのようにできない「もどかしさ」を感じた時期もありました。誰でも「はじめて」には、戸惑いはつきものです。

つまり、上の子も同じということ。ある日突然「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」になるんだよと言われ、すぐになれるものではないということ。大人でも大変なのだから、子どもからしたらもっと大きな変化だといえます。

毎日の生活の中で「自分」が大切にされている時間がある子は、弟や妹にも自らやさしくなれるもの。大人が「こうしてほしい」「こうであってほしい」と一方的に枠にはめるのではなく、子どもが自ら行動できるようになれたら、すてきです。

実際に、わたしのまわりにも、すてきな子育てをされている方がたくさんいます。子育ては、一人でするものではない!と思っています。大変な時期、眠れない時期、一人で息がつまりそうな時期があるかもしれませんが、そんなときは頼れる人を探してみてください。園・学校や地域、ご近所さん、親戚、友人、頼れる人がどこかにいるはずです。

心とからだの力をちょっとぬいて、子育てしていきましょう!

☆最後に、子育て中のママには有名な絵本を一冊紹介します。わたしは、この本を友人から譲り受けたのですが、何度読んでも胸がいっぱいになります。別の友人にもすすめたところ、読み聞かせしながら涙を流していました。ちょうど下の子が生まれて間もないころだったからかな。心にしみたようです。子育てしている方にはぜひ読んでもらいたい絵本です。

プロフィール
ぶあ
ぶあ

教育コンサル・アドバイザー/WEBライター/チャイルドコーチ
10年以上の小学校教員経験&コーチングを活かした子育てを実践しながら、その経験をもとにコーチング子育て、おうちで使えるコーチング法など、オリジナルメソッドを公開中。現役時代には発信できなかった「教師の本音」、若い先生たちに伝えたい「ちょっとしたノウハウ」を伝授!
子育ても生き方も、もっともっと自由でいい!まわりの「ものさし」に合わせるのではない、肩の力をぬいた「子育て」「教育」が必要☆
旅大好きな昭和アナログ世代。結婚して子どもが生まれても、旅人魂は変わらず。夢は「旅するように生きること」。

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