子どもたちにとって、春は大きな環境の変化の時期。
クラス替えがあったり、担任の先生が変わったり、中には転校して新しい学校に通いだす子もいることでしょう。
「うちの子は大丈夫!」というタイプのお子さんでも、それなりに「変化ストレス」を感じていることがあります。小さなことでも、子どもにとっては大きな出来事であることも多いもの。子どものSOS行動を知っておけば、はやめに対処することが可能になります。
今日は、小学生によくみられる子どものSOS行動を紹介します。さらに、SOS行動が見られた場合の対応法も一緒に紹介していきます。これを読めば、目の前にいるお子さんのSOSに気づくことができるようになりますよ。
春に注意したい子どものSOS行動① 朝、元気がない
「朝、なかなか起きられない」「今までは朝の支度がはやくできていたのに、急にゆっくりになった」「食欲がない」など、朝の時間帯にSOS行動が見られることがよくあります。
普段と違った様子が見られる場合は、無理に急がせるのではなく、ゆっくり話を聴くことを心がけましょう。
何か原因がある場合には、体調不良という形になってSOSがあらわれることも。「おなかが痛い」「頭が痛い」「気持ちが悪い」という訴えは、もしかしたら言葉では伝えられないSOSなのかもしれません。
体調不良を訴えた場合には、休ませるということもひとつです。病院にいって診察してもらい、特に異常がない場合には、ゆっくりと休養しながら、話を聴いてみるとよいでしょう。
また、病気ではなさそうだけど、朝、元気がない様子が続くようでしたら、一度、担任の先生に学校での様子を聞いてみることも大切です。
春に注意したい子どものSOS行動② 学校の話をあまりしない
「前の学年までは、よく学校の話をしていたのに、急に話さなくなった」ということもあります。成長するにつれ、口数が少なくなる…ということもありますが、あまりに急な場合には要注意!
新しい環境に変わった場合には、なおさらです。学校から帰ってきたら、おやつを食べながら、テレビを見ながらでもいいので、少し学校のことを聞いてみましょう。大切なことは「少し」だけです。
聞かれたくないことをあれこれ聞かれることは、子どもにとってもストレスです。少しだけ聞いて反応を見れば、「聞かれたくない」反応なのか、「ただ伝えるのが面倒なだけ」なのかが見えてきます。
聞かれたくない反応の場合には、何か不安なこと、心配なことがあるのかもしれません。話しやすい雰囲気を心がけるといいでしょう。子どもが自分から話し出すタイミングを作ってあげること、先生から学校の様子を聞いてみることも大切です。
春に注意したい子どものSOS行動③ スキンシップが増えた
低学年の子どもたちに多いものが、スキンシップが増えるというSOS行動です。不安や心配があるときに見られやすい行動です。
子どもがスキンシップを求めるときには、できる限りその欲求を満たしてあげることをおすすめします。抱っこしたり、頭をなでたり、背中をなでたり、手をつないだり…どんな小さなことでも、それだけで満足!という子は多いです。
スキンシップは「安心感」につながります。肌のぬくもりを感じることで「大丈夫」「一人じゃない」と確認しているんですね。くっついているだけで、エネルギーチャージができることも多いです。
「もう〇年生になったのに!」などと言わずに、たっぷり甘えさえてあげてください。特に、下に妹や弟がいる子の場合、普段我慢していることが多いです。甘えてきたときには、本当にスキンシップが必要なとき!と思って、最優先してあげてくださいね。
春に注意したい子どものSOS行動④ イライラすることが多い
「なんだか最近、イライラしている」「すぐに怒ってばかり」というお子さんも、要注意です。言葉でうまく自分の気持ちを伝えることができない場合、イライラという感情で表現することがあります。
子どもがイライラしていると、こっちまでイライラ…ということがあるかもしれませんが、イライラの裏に隠れた気持ちに目を向けるようにしましょう。「この子は、何にイライラしているんだろう?」と。
もしかしたら、学校でいやなことがあってイライラしているのかもしれないし、新しい環境が不安でイライラしているのかもしれない。そんな風に考えて、子どもを観察してみると、こちらのイライラの感情は手放すことができるはず。
もし話を聴けるのであれば、イライラの裏の気持ちを聞き出せるといいですね。イライラしたとき、どうしたらそのイライラを手放すことができるのか、一緒に考えてあげることも大切です。
気分転換に一緒に散歩に行く、公園で全力で遊ぶなど、その子に合ったイライラ解消法を見つけることも大事です。
春に注意したい子どものSOS行動⑤ 宿題などにやる気が起きない
「それまで、問題なく宿題ができていたのに、急にやる気がなくなった」というSOSもあります。学習面で心配なことがある場合や、先生との関係で不安なことがある場合、学習へのやる気が起こらないことがあります。中学年以上になると、交友関係の悩みが学習意欲に関係することも多いです。
何に不安や心配を感じているのか、話せる雰囲気を日頃から作っておくことが大切です。
一日一回は、スマホもテレビも何もなく、子どもの顔を見ながら会話する時間を作ってみてはどうでしょうか。これは、春だから…というのではなく、いつでも始められます。そして、子どもにとっては、親が自分だけを見てくれる貴重な時間となります。
親が忙しくて、なかなか相談しにくい…と感じている子もいるものです。困ったときに、悩んでいるときに、いつでも相談できる雰囲気を小さいころから作っておくこと。これは、子どものSOS行動が見られたときにも、とても役立ちます。
春に注意したい子どものSOS行動⑥ ぼーっとしたり無表情
「心、ここにあらず」という言葉があります。子どもでも、そんな状況になることはあります。ぼーっとしていたり、無表情であったり、という行動で、子どもの変化に気づくこともあります。
子どもは、よく笑います。ちょっとしたことでも、大笑い。そんな子どもから笑顔が見られなくなったら、相当なSOSです。
春、新しい環境でスタートしている子どもたちは、けっこう疲れがたまっています。ただ単に疲れているだけ…ということもあるでしょう。慣れない友だちや先生に気をつかってクタクタ…という子もいるはずです。
そんなお疲れ気味の子どもたちには、家でのんびりさせてあげましょう。いつもなら言いたくなるようなことも、半分くらい飲み込んで、薄目で子どもを見守ってあげてください。目を見開いたら、口を出したくなるようなことも、この時期は、目を細めて見守るくらいがちょうどいいです。
学校で疲れ切っているのに、帰ったら習い事…という忙しいスケジュールの子も最近は多いですね。でも、もし、いつもと違う様子が見られたら、4月は休んでもいいくらいの気持ちでもいいのではないでしょうか。
そのうち、学校に慣れてきたら、普段通りにシフトすればいいだけです。疲れ気味の子に過度なプレッシャーは酷です。学校でがんばってきているから疲れているのだから、せめて家ではがんばらない時間を作ってあげてくださいね。
また、お疲れモードだけじゃない深刻な状況の場合もあるかもしれません。そんなときには、一刻もはやく学校の先生へ連絡をし相談するようにしましょう。
【まとめ】春だからこそ、子どものSOSにすばやく気づき、行動を!
新しい環境に慣れるということは、大人でも大変なこと。新しい職場、部署に異動になったら、最低1ヵ月は慣れるのに必死ですよね。
子どもも同じです。
「友だちはできるのかな」「新しい先生はこわくないかな」「仲のいい友だちと違うクラスになってさみしい」「まわりで気の合う子がいなそう」「勉強が急にむずかしくなった気がする」
など、たくさんの不安や心配を抱えて登校している子は多くいるはずです。
大人になってしまえば、「そんな小さなこと!」と思うようなことでも、子どもにとってはとても大きなこと。自分が子どもだったときを思い出してみてください。友だちとけんかをした日、世界が終わったような気持ちになりませんでしたか?
自分の中にいる小さな小学生を思い出しながら、自分だったらどんな風に声をかけてほしいか、かけてほしくないか。どんな風に接してほしいか、ほしくないか。…と考えてみると、対応法は見えてくるのではないでしょうか。
子どもたちは、さまざまな方法でSOSを出してきます。そのSOSに気づくことができるか、できないかで、その後の子どもたちの成長に影響を及ぼすといっても、過言ではありません。
ぜひ、目の前にいる子どもたちのSOSに気づき、「気づいているよ」というメッセージを伝えてあげてください。それだけでも、子どもたちの心は安心するはずです。
環境の変化が多い春だからこそ、いつも以上に子どもたちのSOSにアンテナをはっていきたいですね。
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