最近よく言われている「自己肯定感」。
「自己肯定感を高めるために、なるべく失敗はさせないようにしている」
という方もいるかもしれません。確かに「できないこと」や「失敗ばかり」だとモチベーションは下がり、「自分はできない子だ」と思い込んでしまうこともあります。でも、「失敗」が「自己肯定感」を下げるわけではありません。
失敗が自己肯定感を下げてしまう原因の多くは、
失敗したとき・できたときの言葉かけにある!
失敗を前向きにとらえることができる言葉かけをすれば、失敗は決して自己肯定感をさげることにはなりません。逆に、失敗をするからこそ身につく力がたくさんあります。
失敗から学べることはたくさんある。失敗からしか学べないこともあります。今日は「失敗からどんな力が身につくのか」を具体的にお伝えしていきたいと思います。今までたくさんの子どもたちと接してきた経験をもとにしています。よかったら最後までおつきあいください。
失敗から身につく力① 挫折から復活する力
失敗をすると「できなかった」「うまくいかなかった」「はずかしい」「なんでだろう」など、いろいろな気持ちが出てきます。そして、悲しくなったり、悔しくなったり、「もう、やりたくない」とやる気をなくしてしまうこともあるでしょう。
そんなとき、大人は、その気持ちに寄り添うことが一番!そして、「悲しい」「くやしい」と思うことが大切なのだと、子どもに伝えてあげてください。その気持ちは失敗した人ではないと経験できないもの、すばらしいことなのです。
繰り返し、気持ちを受け止め、前向きな声かけを続けていくと、失敗することはダメなことではないと子ども自身が感じるようになります。そこまでくると、失敗を恐れることも少なくなり、失敗からの復活もはやくなっていきます。「失敗」からうけるダメージが減っていきます。
成長していくと、何もかもうまくいくことなんて、そうそうありません。うまくいかないとき、失敗したときに、そこからどう立ち直るか、復活するかが大切です。小さいうちから「失敗」を経験しておけば、「失敗」からどう復活すればいいのか、復活力が身につきます。
失敗から身につく力② 問題を解決する力
「失敗」したときに、どう対応するのか。それは、いろいろな場面で役にたつ力となります。うまくいかないとき、どうやって解決すればいいのか。それは、失敗した人ではないと経験を積めません。何度も失敗を繰り返しながら、問題解決力が身についていきます。
成長する過程で、子どもはたくさんの壁にぶち当たります。その壁をどう超えていくのか、いろいろな方法があっていい。それを「失敗」を通して学んでいくことができるわけです。よじ登ってもいいし、壊してもいい、壁のない道へ変更してもいい。いろいろな解決方法があることを知ることが大切なのだと思います。
失敗から身につく力③ 努力する力・挑戦する力
「失敗」から立ち直り、どうすれば解決するのか考え、試行錯誤することで、努力する力や挑戦する力が身につきます。「もう一度やってみよう」「今度はこの方法でやってみよう」など、あきらめずに努力したり、新しいことに挑戦したりする力がついてきます。
「失敗」を「失敗」で終わらせない。「失敗」を「成功のもと」にする力が、この努力する力・挑戦する力だといえます。
失敗から身につく力④ 人を思いやる力
「失敗」したことがある人は、人にやさしくなれます。それは、「失敗」した人にしか分からない気持ちが分かるからです。うまくいかないとき、どんなに悔しい気持ちなのか、悲しい気持ちなのか。それが分かるからこそ、人にもやさしくなれるんだと思います。
できない人に寄り添うことができる。思いやりの気持ちを育むことにつながります。
失敗から身につく力⑤ 気持ちを表現する力
「失敗」したときに抱く感情は、人それぞれです。その気持ちをどうやって表現すればいいのか、消化すればいいのか、それは「失敗」経験を繰り返すことで身についていきます。はじめは、うまく表現できないことでしょう。
どうやって表現したらいいのか、子どもの気持ちに寄り添いながら、一緒に考えていくことが大切です。たとえば、大声で泣き叫ぶ。誰もいない場所ならいいかもしれませんが、周りに人がいるところでは迷惑になります。じゃぁ、どうすればいいのか。誰もいない場所で涙を流す。家に帰るまで我慢する。など、同じ「泣く」にしても、方法はいろいろあります。
「泣く」よりも、「書く」ことで気持ちを発散できる子もいます。「歌う」「笑う」「スポーツをする」など、一人ひとり違うもの。どの方法がいいのか、「失敗」を通して身につけていくことができるのでしょう。
失敗から身につく力⑥ できない自分を認める力
完璧な人間なんていません。「失敗」したら「自分はだめな人間だ」なんて思うことはないんです。それをきちんと子どもに伝えることが、大切です。それには、結果に焦点をあてるのではなく、経過に焦点をあてること。
結果に焦点をあてると、どうしても「できた」「できない」ということで判断しがちになります。そうではなく、努力している経過、挑戦しようとする姿勢に焦点をあててあげる。結果はどうであれ、その経過が大切なのだと分かれば、できない自分も受け入れることができるはず。そして、できない自分を受け入れることが「自己受容」となり、「自己肯定感」にもつながります。
失敗から身につく力⑦ いい意味であきらめる力
すべてを手に入れるなんてことはできません。人には得手不得手があります。「失敗」は人を強くします。そして、いい意味であきらめる力がつきます。いくら努力しても手にはいらないもの、身につかないことがあるものです。
それが分かれば、あきらめて違う道へ進んだり、手放したりすることもできるわけです。ひとつのものやことを、ずっと継続していくこともすばらしい。でも「もう、十分」と思えたら、いい意味であきらめることも大切なのではないでしょうか。
そして、その決断力も「失敗」から身につく力だといえます。
【まとめ】失敗から身につく力はたくさんある!子どものときにの失敗経験は大切にしよう。
「自己肯定感」という言葉がひとり歩きし、「失敗させないように」と子育てしている方が増えているという記事を読みました。「失敗させないように」育てた子は、ある日「失敗」に直面したとき、どうなるのでしょうか。子どものときは、ある程度親が先手先手で「失敗」を回避できたとしても、親のもとから離れたあとはどうするのでしょう。
子どもが自立していく上で「失敗」する経験は、とても大切なもの
とはいっても、失敗したくてする人はいないですよね。子どもとなれば、なおさらです。そこで、我が家では、わたしが率先して失敗する姿を見せるようにしています。「親だって、大人だって失敗するんだ」と分かれば、子どもも安心して、失敗したり失敗話をしたりするようになりますよ。
「失敗しないように育てる」のではなく、「失敗経験を大切に育てる」に変えてみませんか。
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