元小学校の教員なので「教えない」に限る!というと…、「え?学校の先生の仕事は教えることじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが…
それでも、できる限り「教えない」方がいいと思っています。
それは、学校でも、家でも同じ!
今日は、実際に学校現場で意識していた「教えない」コツを活かした、家でも簡単にできる「教えない」学習法をお伝えしてみたいと思います。
お子さんの学習習慣をつけたいと思っている方、楽しく勉強してほしいと願っている方、特にこれから小学校のあがるお子さんをおもちの方、少しでも参考になったらうれしいです。
「教えない」学習法① 家のあちこちに「しかけ」をつくる
子どもに「教えない」からといって、ずーっと何もせずに待っていても、いっこうに学ぶ様子が見られないこともあります。そこで、お子さんの発達段階に応じて、興味をもちそうなものを、あらかじめ「しかけ」ておくことが大切です。
「しかけ」ておくといっても、そんなに大変なことではありません。壁に貼っておくとか、おもちゃとして置いておくとか、目につくところに、手の届くところに「しかけ」ればOK!
興味をもって、見たり遊んだりするようになるでしょう。そこで、大事なことがもうひとつ。
それは、興味を示したからといって、すぐに「教えよう」としないこと!親としては「お、ちゃんとしかけたことに興味をもった!やった~!もっとくわしく教えてあげたい」という気持ちになるのは、とってもよくわかります。でも、ここで、少し我慢…
子どもが、好きなように見たり、触ったり、遊んだりする時間を大切にしてあげてください。
子どもは「遊びの達人」です。いろいろなアイデアをめぐらせ、「こうでもない。ああでもない。こうしてみようかな」など考えているものです。その時間が「学習」につながります。
ぜひ、温かい目で見守ってあげてください。親が手をさしのべるのは、子どもからのヘルプが来たとき!
ちなみに、我が子の場合…、今、小学校1年生ですが、ひらがな、数字、カタカナ、漢字、計算など、いっさい家で「教えた」経験はありません。が、いつの間にか、覚えていました。
やったことは、興味をもちだしたら、すぐにひらがな表を壁に貼ったこと。カタカナや漢字も、興味をもったことがわかると、すぐに貼りました。漢字は、学校ではまだ学習していない時期でしたが、興味をもったときが「学ぶ」最良の時!と思っています。
計算も、トランプで遊んだり、生活の中でたし算ひき算の問題を作りあったり…。こちらが、一生懸命にならなくもて、子どもは興味があるものには、自分から取り組むものです。
それには、やはり、子どもが興味をもったことを、敏感に察知したり、先を見通して「しかけ」ておいたりということが大切です。万が一、その「しかけ」に興味を示さなかったとしても、大丈夫。まだ、その時期ではなかっただけです。
「教えない」学習法② 親が、楽しく「学習」している姿を見せる
子どもは、親の姿をよくよく見ています。そして、「楽しい」ことを探すアンテナをいつもはっています。
親が夢中で何かをやっているとき、子どもが「やりたい!」といってじゃましてきて進まなかった…とう経験をしている方も多いのではないでしょうか。
子どもは、親が楽しそうにしていることに興味をもちます。子どもに「学習してほしい」と思ったら、まずは、親が楽しそうに学習する姿を見せることも効果的です。
「本を読んでほしい」と思ったら、自分が読書を楽しむ姿を見せる。
「たし算ひき算を身につけてほしい」と思ったら、たし算ひき算を楽しそうにしている姿を見せる、ゲーム感覚でできるものなどを家族みんなでやってみる…などもおすすめです。
お子さんの中には「すでに勉強は大変。むずかしい」というイメージをもってしまっている子もいるかもしれません。その場合には、まずは「勉強(学習)って楽しい!」というイメージに入れ替えることからはじめましょう!
一緒にトランプで遊んで「これも、数のべんきょうだね~」と伝えれば、「あ、数のべんきょうって、楽しい!」というイメージができていきます。ぜひ、楽しいことからはじめてみてください。
「教えない」学習法③ 机上以外のさまざまな「学習方法」を体験
小学校に入ると、机の上での学習が大半になり、「学習=座ってやるもの」という意識が強くなります。でも、学ぶことは、机上だけのものではありません。
体験すること、実験すること、観察すること、活動すること、調査すること、創造すること、さまざまな学習方法があることを、ぜひお子さんに伝えてあげてほしいと思っています。
実際、机上で学習したことよりも、体験したこと、見学したことの方が記憶に残るもの。体を動かしながら、五感を使いながらという活動は、子どもたちの「学び」に、とても大切なことです。
机上での学習は苦手だけど、自分の力で調べることに熱心に取り組む子、生き物の観察になると目を輝かせる子、創造力を活かして自分だけの世界を表現する子、一人ひとりの「楽しい学び」は違うものです。でも、どれも大事な「学び」なんだということが分かれば、自信につながると思いませんか?
苦手を克服することも大切ですが、まずは「学ぶって楽しい」実感があってこそだと思います。
「教えない」学習法④ 答えは「自分で探す」ことを習慣化
子どもたちは「はてな」探しの達人でもあります。
幼児期の子どもが「なんで?なんで?」と質問攻めをしてきて、答えに困る…ということはよくあります。「なんで?」という気持ちは、学びの基本!とても大切なもの…
とは、わかっていても、何をこたえても「なんで?」が止まらない…のが幼児ですよね。もう少し大きくなって、自分の興味からの「なんで?」が出るようになったら、ぜひ、答えを一緒に探してみることをおすすめします。
ただし、これは、親自身に時間と心の余裕があるときに限ります。すべての「なんで?」の答えを一緒に考えるのは、かなり大変だと思うので、すべてに答えようとしなくてもOK!
たとえば、「なんで、毛虫はもじゃもじゃなの?」と子どもが興味をもったら、一緒に図鑑で調べてみる、図書館でもっとくわしい本を探してみる、虫博士の知り合いに聞いてみる…など、答えを一緒に探してみましょう。子どもは、そういった過程を通して、「答え」だけでなく、「調べ方」を身につけることができます。
困ったとき、疑問に思ったときの解決方法を、自然に身につけていくことができるというわけです。ぜひ、幼いときから習慣化できるといいですね。
最近は、何か調べるとなると、スマホでささっと検索という方法を使っている方も多いと思います。わたし自身も、スマホにはお世話になっているので、スマホ検索が一概にだめだとは思っていません。
ただ、もしスマホを調べる手段として選ぶのであれば、「スマホの情報は100%ではない」ということも、合わせて教えることを忘れずに!信頼できる情報を見抜く力も、これからの子どもたちには必要な力です。
「教えない」学習法⑤ 親も一緒に「できた」「わかった」に共感する!
わからないことが、わかったとき、みなさん、どんな気持ちになりますか?
「やった~!」「すっきり!」「達成感」など、人それぞれだと思います。でも、共通していることは、心が動くということ。大人であっても、わからないことを必死に調べて、わかったとき、うれしいですよね?
子どもは、もっとたくさんの「わからない」に遭遇しています。そのたびに、試行錯誤しながら「わかった」に変えていっています。大人からしたら「そんなのわかって、当たり前」ということも!です。
だからこそ、子どもの小さな「わかった」に一緒に感動してほしい!「できたよ」「わかるようになった!」とうれしそうに、お子さんが報告してきたら、一緒になって感動してあげてください。その「共感」が、子どもの次への原動力になっていくからです。
【まとめ】教えないことで、子どもの自主性が育つ!これからの子育てに大事なこと。
学校も、子ども自身が「考える」「探求する」学習スタイルに変化しています。それでも、学校は集団で動くことも多く、多くの教科学習は一斉授業。その中で「学習についていけない」「わからないことが、わかるにならない」「勉強が苦手・・・」という子が、どうしても出てきてしまいます。
「学ぶことは楽しい」
この基本を、できるだけ幼いうちから身につけておけば、小学校に入り、学習につまづいたとしても、自分なりの解決法を探ることができます。逆に、「学ぶことは大変だ。むずかしいことだ」という意識が植え付けられてしまった子は、学習を楽しいと感じることがむずかしくなっていまいます。
「できないことをできるようにする」ことだけが、学ぶことではありません。
まずは、「興味があること」「もっと知りたいこと」から、学んでみる。「学ぶってこういうこと」「学ぶって楽しいな」と感じられたら、あとは、子どもが自分から学んでいくことができます。親ができることは、限られています。でも、家でもできることは、確実にあります。
ぜひ、お子さんの「学び」のために、ちょっとした工夫と「しかけ」をしてみてくださいね。
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