「平和」について親子で考えたいけど、どうやって伝えたらいいのか…なかなかむずかしいですよね。そんなときに、おすすめなのが「絵本」です。
わたしが子どものころは、1年に一度夏休み前に、学校で「平和」について考える時間がありました。先生たちが「紙芝居」を読んでくれたり、体育館で映像を見たりした覚えがあります。夏休みの親子映画では毎年「戦争」をテーマにしたものを上映していました。「ほたるの墓」を観たときのことは、今でもはっきり記憶しています。
親になった今、「平和」について考える機会が減ったことを実感しています。地域にとっては、学校で「平和」の学習を行っているところもあるかもしれませんが、学校の多忙化もあり、行っていないところもあるのではないでしょうか。
そこで、今日は、おうちで親子で「平和」について考えるきっかけになる絵本を紹介したいと思います。今まで、教室で読み聞かせをしたり、道徳の授業で取り扱ったりしてきた本の中から、
これは、自分の娘に読み聞かせたい!
と思った絵本を厳選しました。知っている本もあるかもしれませんが、気になるものが合ったら、書店で手にとってみてくださいね。1年に一度、「平和」について親子で考えるきっかけにしていただけたら、うれしいです。
本当の「強さ」って何だろう?「せかいでいちばんつよい国」
幼児から大人まで、年齢によって感じることが違ってくる深い絵本。「強い国ってどんな国?」そんな問いかけをしてから、絵本を読み聞かせするといいですね。あとは、あれこれ、大人が問いかけなくても、子どもが自分で考えることでしょう。
「つよい国」を「つよい人」に置き換えても考えることができます。「本当に強い人ってどんな人だろう?」大人もはっとさせられるのではないでしょうか。
「へいわ」を知らない子に「へいわってどんなこと?」
何度も学校で読み聞かせをした一冊。「へいわってどんなことなのか?」を分かりやすく伝えています。「平和=戦争をしない」ということだけではなく、身近なところで「平和」を感じることができる。子どもの視点にたって、書かれています。この本を教室で読み聞かせたとき、短い言葉と絵から、いろいろなことを想像し、感じ取っている子どもたちの姿が印象的でした。
「へいわ」という言葉をまだ理解していない5歳の娘に、まずはこの本を読み聞かせたいと思っています。
世界の中の「自分」を感じる「世界がもし100人の村だったら」
この本が出版された年に購入し、わたし自身が衝撃を受けた一冊です。自分がどんなに恵まれた環境で生きているのか。本当に「衝撃」でした。世界を100人の村にたとえ、世界の実情を数字で分かりやすく伝えてくれる本です。
高学年の担任をしたときに、この本を授業で使ったこともありました。子どもたちにとっても具体的な数字が分かりやすく、世界の問題を自分事として考えることができました。
もしかしたら、大人でも、知らないことがあるかもしれない世界の現実。世界を知ることで、自分を知ることができます。世界の実情をすでに知っている方には、物足りなさを感じるかもしれませんが、親子で「世界」や「平和」を考える材料としては、おすすめです。小学校高学年以上の方が理解しやすいと思います。
「へいわってすてきだね」
6歳の子どもの視点で描かれた「へいわ」。何気ない日常の大切さを実感することができる絵本です。子どもの言葉だから心に響くものがある。子どもの言葉から、大人が忘れてはいけないことに気づかされる一冊です。
味のある長谷川さんの絵も魅力です。戦争の悲惨さを伝える本はたくさんありますが、子どもの実態によっては、そのむずかしさを感じることもありました。そんな中、「平和の尊さ」を子ども目線で伝えてくれる貴重な絵本といえますね。この本も、5歳の娘と一緒に読みたいと思います。
大人も考えさせられる「世界で一番貧しい大統領のスピーチ」
小学校高学年から大人まで、幅広く読んでほしい一冊。2012年、ブラジルのリオデジャネイロ国際会議で、環境が悪化した地球の未来について話し合いが行われました。そこで、ウルグアイのムヒカ大統領がスピーチした内容が聴衆の心をうばい、話題になって絵本化されました。
いろいろなものが便利になった今、「世界にこんな大統領がいるのか」と驚きました。子どもだけでなく、大人にも読んでほしい本です。ムヒカ大統領のように生きるのはむずかしいかもしれませんが、大統領のスピーチの内容を知っているかどうかで、少し生き方が変わるかもしれません。
【まとめ】あたり前の毎日があたり前ではない。身近なところでも「平和」を考えることはできる
「平和」というと「戦争」というようなイメージをもたれる方もいるのではないでしょうか。また、子どもたちの中には、「平和じゃない社会は過去のこと」ととらえている子もいるようです。
でも、実際に、今も世界のどこかの国では、戦争や貧困で「平和」とはかけ離れた生活をしている人たち、子どもたちがいます。日本で生まれ育った子どもたちにとって「平和」を考えるときには、「自分事」として考えることができるかが、とても大切だと思います。
「今、あるあたり前の生活が、あたり前ではなくなること」
それを絵本を通して実感したり、
世界の実情を知ったりすることで、
「平和」ってどういうことなのかを、子どもたちが自分自身で考えることが大事!
大人は「こうあるべき」「こう考えるべき」と正論や自分の考えを主張したくなりがちですが、ぐっと我慢。子どもがどんなことを感じて、どんなことを考えたのかを、ありのままで受け止めることで、子どもの内面が見えてきます。どう感じても、どう考えても、間違いはありません。
もし、子どもがもった感想や考えが理解できないのであれば、「どうしてそう思うのか」質問しながら、対話できたらいいですね。対話相手がいることで、さらに物事を深く考えることができます。
年齢にかかわらず、そのきっかけを作るのに「絵本」はおすすめです。
お子さんの成長に合わせて、絵本を通して「平和」を考えてみませんか。
コメント