いよいよ夏休み。夏休みの宿題とは別に「読書感想文」に挑戦してみようかと思っている方もいるのではないでしょうか。
「普段はなかなか読まないけれど、夏休みには読書をさせたい!」
「作文を書く機会が少ないから、挑戦させてみたい!」
「子どもは本好きだけど、読書感想文ってむずかしそう…」
など、いろいろな声が聞こえてきそうですが…
大丈夫!
もと小学校教員が、分かりやすくポイントをお伝えします!
実は、すでに娘と一緒に読書感想文用の絵本を1冊購入しました。今回は、読書感想文用の絵本の選び方と書くときのポイントもお伝えしていきたいと思います。
この夏、読書感想文に挑戦しようかなぁと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
読書感想文のための「本選び」のコツ
毎年、課題図書をすべて読んできましたが、課題図書だとお子さんの興味や関心がないものばかり…ということがあるかもしれません。そういった場合には、「課題図書」は無理に選ばない方が〇。「おもしろい」と思えない本を読んでも、感想は書けないからです。
読書感想文には、「課題図書」と「自由図書」の2つがあるので、もし「課題図書」の中で「これ!」というものが見つからなければ、自由に好きな本を選ぶ「自由図書」をおすすめします。
でも、いくら「自由」だからといって、なんでもいいのか?というと、実はそうともいえません。(実際には、自由なので、なんでもいいのですが…)お子さんが選んだ「好きな本」なのに、実際に感想文を書こうと思ったら、ぜんぜん書けない…ということも…。
そうなんです!いくら「好きな本」でも、好きなことと「感想文が書けること」とは、別問題なんです。
では、「感想文」を書きやすい本とは、どんな本なのか? 簡単にまとめました。
☆ 本に描かれている世界が想像しやすいもの
☆ 実際の自分(子ども)の生活と結びつきやすいもの
☆ 本に描かれていない部分を空想しやすいもの
☆ 何度も読んでもあきないもの・くりかえり読みたくなるもの
☆ 文字数が少なすぎないもの
今回は、低学年向けの「絵本」について書いています。
中でも、想像力がかきたてられるようなストーリーだと、子どもは絵本の世界にどっぷりとはまることができます。また、書かれていない内容を想像したり、「自分だったらこうしたいなぁ」と自分事として考えたりすることにもつながります。
そのため、いくら「絵本」といっても、文章がまったくないものよりは、ある程度ストーリーとして読み応えのあるものを選ぶ方がいいでしょう。出てくる言葉から、さらに想像をふくらませたり、知らない言葉の意味を知ったり、子どもの世界が広がります。
今は、ネット販売で本を購入する人も増えていると思います。ただ、読書感想文の本を購入するときには、実際に手にとって実物を見てから購入することをおすすめします。書店でも、「読書感想文向け」の特設コーナーが設置されているところがあるので、お子さんと一度本を見てから決めるといいですね。また、図書館で探すというのもおすすめです。
「自由図書」をお探しの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
最近では、「読書感想文の書き方」の本も出版されているんですね。
その枠に入れて書いていけば、あっという間に読書感想文が仕上がるという、とても画期的なものです。作文を書く練習としてはいいと思うのですが、読書感想文に応募するとなると、個人的にはあまりおすすめしません。
それは、読んでいて、正直「あまり、おもしろくない」からです。今まで、毎年たくさんの子どもたちの読書感想文を読んできましたが、できあがっている枠に入れて書き上げてきた文章は、機械的な感じがして、あまり伝わってこない。文章のうまい下手は関係なく、子どもらしさ、その子らしさが出ている文章の方が、読む人の心をつかみます。
ということで、ここからは「読書感想文に何を書いたらいいのか」そのポイントをお伝えしていきます。
読書感想文の書き方ポイント① 一番好きな場面は…
まずは、王道ですが「好きな場面」を書く。一番心に残った場面と、その理由を書きます。なぜ、その場面が好きなのか、心に残ったのかを書くことで、書いている子の心が見えてきます。
本を読み終わり、「一番好きだった場面は?」「心に残った場面は?」と聞いたときに、子どもがまっさきに話しはじめた場面のことを書く。好きな場面には、必ず理由があります。その理由も、合わせて書くことで、その本の見どころが伝わってきます。
「好きな場面は?」と聞くと「ない」と答える子がいるかもしれません。その場合には、少し言葉を変えて「びっくりした場面?」「もう一度読みたい場面?」「今も覚えているところある?」など、質問をしてみるといいでしょう。
「好きな場面はないけど、いやだなぁという場面ならあるよ」という子がいるかもしれません。それは、それで、立派な感想のひとつ。大切にしてあげたい気持ちです。
うまく書こう、きれいな文章で書こうというよりも、子どもの気持ちを汲み取ってあげることを意識して、言葉かけをするといいと思います。
読書感想文の書き方ポイント② 読んだことがない読者を意識する
読書感想文は、要約ではありません。でも、その本を読んだことがない人が、感想文を読んで読みたくなるように書くことも大事です。要約ではないけれど、少しストーリーを説明してあげるという感じでしょうか。
たとえば、A「主人公がびっくりして部屋をでたとき」という表現と、B「主人公の〇〇ちゃんが、黒い影を見てびっくりして部屋をとびだしたとき」では、印象が違いませんか。まったくストーリーが分からないで読んでいる人でも、Bだと、「何か黒い影が見えたんだな」「すごくびっくりしたんだな」とその場面を想像することができます。
そんな風に、ちょっとしたことですが、お子さんが書きたい場面に追記していくだけでも、ずいぶんと感想文の印象が変わってきます。
読書感想文の書き方ポイント③ もしも自分だったら…
たくさんの読書感想文を読んできて、一番読んでいておもしろいところが、この「自分だったら…」という視点です。ここで、その子らしさが表現されます。
「もし、自分が主人公の〇〇だったら…」
「もし、自分が〇〇の場面にいたら…」
と、自分に置き換えて、考えてみます。感想文の中で、一番中身をふくらませやすいのが、この部分です。
「お話の感想は?」だけだと「おもしろかった」「かわいかった」「びっくりした」など一言で終わってしまう子でも、「自分だったらどう?」とたずねてみると、次から次へと言葉が出てくることも多いです。
低学年の場合、その言葉をすぐに文字にすることがむずかしい場合には、大人が子どもの言葉をメモしてあげるのも〇。あとから、そのメモを見ながら、作文にしていくこともできます。
作文が苦手な子の多くが、思っていることはあるけれど、それを即座に文字にすることが苦手なだけということがあります。
以前、わたしがよくやっていたことは、話し言葉でおしゃべりしながら、その言葉を拾ってあげる。その後、つなげていけば、自然と作文ができてしまうというもの。すると、子どもは「あれ?作文ってむずかしくないな」と、作文への苦手意識がなくなることもありました。
読書感想文の書き方ポイント④ 主人公や登場人物に伝えたいこと
低学年では、よく学習で取り入れる方法のひとつ。主人公や登場人物に「お手紙を書く」というものです。ただ、今回は「読書感想文の書き方」なので、すべてがお手紙になってしまうと、趣旨がずれてしまいます。そこで、読書感想文の中に、主人公や登場人物に伝えたいことを書くことをおすすめします。
自分が物語の中に入って、おしゃべりする感覚で『〇〇っておしえてあげたいです』『〇〇のばめんでは、いっしょにてをつないで「やったね!」っていいたいです』など、伝えたいことを書いてみるのもいいですよ。子どもらしい言葉が出てくるかもしれません。
【まとめ】低学年は絵本を読んで、おしゃべりしたことを作文に!
ひらがなや漢字を覚えたての低学年は、まだまだ書き言葉には慣れていない子も多くいます。話したいことはたくさんあるけれど、それを文字にするのはむずかしい子も。
そんな子どもたちには「作文」の前に「おしゃべり」をたくさんさせることがおすすめです。読んだあとに「さぁ感想文を書こう」と言われても、書けない。でも、読んだあとに「どうだった?」「どこの場面がおもしろかった?」と絵本を見ながら、一緒にふりかえる時間を大切にしてみてください。
子どもは語りたいことがたくさんあるかもしれません。それを、こっそりメモしておくこともおすすめです。
また、「一度読んで感想文を書く」よりも、「一度読み聞かせをしたら、すぐ手にとれるところに置いておく」。自然と、自分で本を開き、読むようになります。くりかえし何度も読んでいるうちに、はじめには気づかなったことに気づいたり、言葉の意味を知りたくなったり、変化がみられることがあります。
ぜひ、そんな「深める」時間も大切にしてみてください。「作文」という形にするのは、あとからで大丈夫。ゆっくり時間をかけて、絵本の世界を楽しんだあと、一緒にそれを文章にしていけばいい。その文章も「うまく書く」必要はありません。誤字脱字などは意識した方がいいですが、子どもらしい言葉で、表現することが大切だと思っています。
普段は気づかなかったお子さんの「きらり」とした気持ちに気づくことができるかもしれませんよ。ぜひ、この夏、親子で楽しく「読書感想文」に挑戦してみてくださいね。
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読書感想文がスラスラ書ける方法をお伝えします 編集経験・元小学校教員が伝授!書くことが苦手なお子さん向け
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