はさみや包丁、カッターなど、身の回りには使い方を間違えると危険なものがいっぱいあります。
「危ない」ってことが分かるようになっても、どうしても「危ないからやらせない」方がいいのではないかと、触らせない、触れない場所に置くなどしている方もいるのではないでしょうか。
実は、わたしもそうでした。
子どもが手にとれる場所には置かない、触れないようにしよう
と実践していました。でも、あることがきっかけで、逆の発想に至りました。
今は、子どもが手にとれる場所に置いて、一緒に使うようにしています。
今日は、「危ないものを触らせない」よりも「危ないからこそ、正しい使い方を教える」に変わったわけをお伝えします。道具の使い方や使い始めの年齢でお悩みの方、危ない道具は使わせていないという方、もしかしたら、お役にたてるかもしれません。ただ、これはお子さんの年齢や性格にもよるものだと思うので、あくまで参考に読んでいただけたらと思います。
わけ① 危険なものを100%とりのぞくのは、不可能!
家の中には危険がいっぱい!だと思っていました。子どもの手のとどくところには、危ないものは置かないようにしていました。それが、子どもを守ることになると思っていたんです。
それが、ある日、祖父母の家に遊びにいくと、いろいろな場所に危険なものが!子どもは、当然触ります。そこで、気づいたんです。
危険なものを100%とりのぞくことは、できない!
家の外にでれば、危ないものはたくさんある。
それを避けるよりも、どう使ったら危ないのか、どう使ったら安全なのかを教えた方がいいのでは!
そもそも「危険」だと思っていたものは、使い方を間違えたら「危険」なのであって、わたしたちの生活にとってはなくてはならないもの。娘も、いずれ使うことになるもの。それなら、小さいときから、きちんと正しい使い方を教えようと思うようになりました。
わけ② 危険なことを事前に教えておけば、子どもは分かる
実家の母を見ていて気づいたのは、娘が興味をもつと、はさみでもカッターでも針でも触らせていました。そして、針などは「ささると痛いんだよ」とチクっと軽く刺して確認させていたんです。
実は、うちの夫も、実家の母と似ています。わたしが買って使わせていた子ども用包丁は「切れなくて、逆に危ない」と。そこで、夫が娘と料理をするときには、よく切れる「ぺティーナイフ」を使わせています。「どこに手を置いたらどうなるのか」を伝え、とにかく見守るスタイル。
包丁に限らず、カッターやのこぎり、日曜大工の道具なども、娘が「やりたい」というと、まずはやらせていました。
「いや~、見ている方がこわい」と思っていましたが、娘は危ないことをしっかり理解して道具を扱っているようです。
「危ないから・・・」と使わせないことは、そのときは安全かもしれませんが、子どもの自立を考え、長い目で見ると「危ないことを教える」ことの方がうんと大事だと気づかされました。
わけ③ 間違った使い方が、危険をよぶ
はさみであっても、包丁であっても、そのもの自体が「危険」なわけではないんですよね。使い方を間違えると危険だということ。どんな使い方が安全で、どんな使い方が危険かを教えることが、とても大切なのだと思います。
「包丁=危ないもの」と教えられて育った子にとって、包丁は危険なものになってしまいます。危険なものは触らない方がいい。そうなると、「包丁はこわいから使えない」という子に育ってしまうことも考えられます。
危うく、わたしもそういう子育てをしてしまうところでした。
道具は便利なもの。でも、使い方を間違えると危険がともなうこともある。正しい使い方をすることが大事!
そういうスタンスで、道具の使い方を教えることが大事なのだと思います。
わけ④ 道具を正しく使えることは、メリットが多い
家で包丁を使って野菜を切ったり、はさみやカッターで工作をしたりすることが多いからか、娘は自信をつけています。「保育園の先生にもほめられた!」とうれしそう。道具を使いこなすには、何度も使う経験が必要です。
昔、教員時代に、カッターの使い方がとびぬけて上手な子がいました。普段は目立つタイプではなかったのですが、図工の時間に「その子のカッター技術がみんなに認められる」ということがあったんです。その子自身の自信になり、他の子にとっても友だちの新たな一面を発見できるきっかけにつながりました。
道具を使えることは、子どもの世界ではかっこいいことなんですね。意外なところでその力が発揮されることがあります。
もちろん、将来的に、道具が正しく使えることは「自立」につながります。
わけ⑤ 触らなければ分からないことがある
誰もが遭遇すること。それは「失敗は成功のもと」でしょう。包丁で指を切った経験があるからこそ、指を置く場所に気をつけるようになります。カッターもナイフも同じです。
裁縫の針をさしたことがあるからこそ、「こういうときに針がささりやすい」と気づくことができます。金槌も一緒です。
生活していく上で、道具はとても便利なものです。でも、使い方を間違えたり、ちょっと気を抜いたりすると、けがにつながるものでもある。それは、経験からでなければ、学ぶことができません。言葉でいくら「包丁は危ない」と伝えたところで、「どうして危ないのか」「どう使ったら危ないのか」は分からないのではないでしょうか。
だからこそ、実際に触ってみる経験が大事なんですね。ただし、けっして子どもの自由に触らせるわけではありません。慣れるまでは、親が「もう大丈夫」と思うまでは、親と一緒に使うという約束をしておくことも大切です。
【まとめ】「危険なもの」は、使い方次第で「便利なもの」になることを、子どものときから教えよう!
「道具=危険なもの」ではなく、「道具=便利なもの」だと伝えたいものです。でも、それと同時に「使い方次第で危険なものになる」ことを忘れずに伝えなくてはなりません。
わたしは大人になってからも、時々、包丁で指を切ったり、針をさしたりします。そういうときこそ、娘に見せるようにしています。
今さ、こうやっていたら、切れちゃった~
自分の失敗も、子どもにとっては学びになります。道具の置き方、運び方、収納の仕方など、「それぞれどうしたら安全なのか」を子どもと一緒に考えることも大切にしています。
「危ないものだから…」と子どもが触れないように保管した方がいい年齢もあります。でも、ある程度成長し、「危ない」ということが理解できる時期になったら、親と一緒に使ってみる経験をさせてみてはいかがでしょう。
少なくとも、わたしはやらせてみて、気づいたことがたくさんありました。子どもが興味をもったとき、子どもがやってみたいといったとき、「今がチャンス!」と思って、なるべく触らせたり、体験させたりするようになりました。きちんと説明したり、ちょっと失敗したりしながら、子どもはどんどん学んでいくものです。
もしできそうなことがあったら、できることから少しずつ体験させてみませんか。子育てのめざすゴールは「自立」です。道具の使い方は「自立」につながるもの。お子さんの気持ち、年齢、性格に合わせて、少しずつチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
コメント