5月病はよく知られていますが、実は9月も心と体の不調が出やすい時期。また、連休明けや長期休業(夏休み・冬休み・春休み)明けも、精神的に不安定になったり、心配な気持ちがあふれてきたりしやすい時期でもあります。
特に、子どもにとって9月は心身ともに負担が多い季節です。長い夏休みが終わって、学校が始まって親としてはホッとひと安心…かもしれませんが、子どもにとってはそうではないことも多いです。
今日は、なぜ9月が子どもにとって負担が多い季節なのか、そして、その時期に親が注意した方がよいことをお伝えできればと思います。
特に、今はコロナ禍…。いつも以上にお子さんの小さな変化に目を向けてあげてくださいね。
なぜ、9月が要注意なのか!?
だいぶ周知されるようになってきましたが、子どもの自殺が多いのが夏休み明けの9月1日だといわれています。夏休み中、学校の中の悩みから解放されていた子どもたちが、学校再開への絶望感を抱くためだと考えられています。
また、長い休みの間に、いろいろな不安が募り、学校へ行くことが大きなハードルになる子もいます。夏休み前に築いた交友関係が崩れ、不安定になることも。
さまざまな理由で、9月は子どもたちにとって変化が大きい時期。だからこそ、周りの大人は、子どもたちの心の葛藤に気づいてあげることが大切です。
9月に親ができること① 規則正しい生活を!慣れるまでのリハビリも
夏休み、どんなに規則正しく生活していたとしても、やはり学校があるのとないのとでは、子どもたちの生活スタイルは大きく異なります。
学校ありの生活スタイルに慣れるまで、少し時間がかかると思っていた方がいいでしょう。中には、学校生活に慣れるまでに時間がかかるお子さんがいるご家庭では、夏休みが終わりに近づくと、登校時間に合わせて、朝、学校まで散歩に行くというお母さんがいらっしゃいました。
そんな風に、お子さんの様子に合わせて、少しずつ学校ありの生活リズムを取り戻していくことが大切です。大人もそうだと思いますが、長い休みが続いた後は、どうしてもリズムが戻らないもの。
朝、早く起きられない子は、夜寝る時間が遅くなりがちです。その場合、夜早く寝ようとするよりも、夜何時に寝ようとも、とにかく朝、早く起きることを心がけた方が、体内リズムは整います。「早寝・早起き・朝ごはん」小学生の間では、合言葉のようになっていますが、ぜひ、ご家庭でも意識してみてくださいね。
9月に親ができること② 助走はゆっくり、休憩してもよし!
夏休み中の充電期間は、子どもにとって大切な時間でもあります。充電期間が終わり、さぁいよいよ2学期!といっても、すぐに全速力で走りだせる子は少ないのではないでしょうか。
「ちょっと調子が出ないけど、走り出してみるか…」といった感じでスタートを切る子も多いはず。助走から全速力でなくても、しっかり助走をとれれば、そのうちスピードにのることができるので大丈夫。子どもの助走をしっかり見守り、サポートしてあげる気持ちが大切です。
学校生活にすぐに適応できる子もいれば、そうでない子もいます。学校に行くというだけでエネルギーを使っている子もいます。そういった子どもたちにとって、新しい学期がスタートするというのは、長いマラソンが始まるようなもの。ゴールまで、休まず走り続けるのは大変なことです。
「休まず走り続けなさい」というのではなく、「休みながらでもいいから、ゴールをめざそう」というサポートをしたいものです。
9月に親ができること③ 日頃から、不安や心配ごとを話せる雰囲気を
9月に限らず、普段から心がけたいことが「不安や心配ごとを話せる雰囲気」です。
困ったことや不安なことを話せるかどうか、これは、家庭が「子どもたちの弱音を吐き出せる場」であるかです。
思春期を迎えると、すべて何もかも親に報告したり、相談したりしなくなる子もいます。それでも、普段から何でも相談できる雰囲気があれば、本当に困ったときには親を頼ります。信頼関係ができているからですね。
普段から何でも話せる雰囲気は、どうしたらできるのか。これは、カンタンです。子どもの目を見て、話をしっかり聴くこと。子どもが話している最中に、会話をさえぎったり、子どもの気持ちを否定したりせず、とにかく聴き、その気持ちを受け止めること。ただそれだけです。
子どもは、自分を理解し、受け入れてくれる存在を、本能的に頼ります。
9月に親ができること④ どんなときでも、家は「安全地帯」でありたい
「学校が楽しい」「学校に行きたい」と思って通っている子もたくさんいますが、中には「学校に行くのがつらい」「学校は楽しくない」という思いをもっている子もいます。学校で子どもたちを受け入れていた立場だったので、そんな思いをもっている子どもたちが、少しでも「学校に行ってもいいかな」「ちょっと楽しいこともあったな」と思えるような工夫をしてきました。
学校が楽しい場所でない子どもたちにとって、唯一ホッとできるのが「家庭」。外の世界でがんばっている子どもたちにとって、「家」は居心地のよい場所であってほしいと願います。
外でつらいことがあったり、我慢したりしてきても、家に帰って「素の自分」でリラックスできる。それだけでも、子どもたちにとってはエネルギーチャージになります。
「学校ではがんばっているようだけど、家でもダラダラしていて…」と相談を受けることが多いですが、
学校でがんばっているので、家では少しダラダラさせてあげてください。
とお伝えしていました。学校では「がんばるモード」で過ごしている子もいます。どんな子でも「充電モード」は必要です。それぞれお子さんによって、充電する場、充電方法が違います。「家でダラダラしていると、ついあれこれ言いたくなる」という気持ちもよくよくわかります。
でも、小さな体で外でがんばっている姿をちょっと想像してみてください。家の中は、子どもにとって「安全地帯」であってほしいなぁと思います。
【まとめ】一人ひとりスピードは違っていい!その子にあったスタートを
学校は集団生活。どうしても、一斉に行動することが多くなります。その集団スピードについていくのがむずかしい子、集団生活に慣れるまでに時間がかかる子、いろいろな子がいるのは当たり前。
みんながみんな、同じスピードでスタートできるはずがありません。せめて、家庭ではその子にあったスピードを大切にできたらなぁと思います。
助走がたくさん必要な子、休みながらスタートしていく子、スタートダッシュは勢いよいけれど、その後スピードダウンする子…、それぞれのペースで進んでいけばいい。周りと比べる必要はありません。スムーズにいかなくても不安になることはありません。
目の前の「子ども」に目を向ける、声を聴く。小さな変化に気づいてあげることで、子どもの心は救われます。毎日の忙しさの中で、小さな変化に気づくことは難しい…と感じる方もいるかもしれません。でも、一日5分でも10分でもいいから、目の前の「子ども」だけに向き合う時間を作ってみませんか。それだけで、子どもの小さな変化に気づくきっかけがうまれます。
一人でも多くの子どもたちが、毎日笑顔で過ごせますように…
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