子どもの習い事に関するお悩みは、けっこう耳にします。
「いつから始めればいいんだろう?」
「いくつ習わせる?」
「どんなものがいいの?」
これらの答えは、実は…ありません。いつからはじめてもいいし、いくつ習わせてもいいし、逆に習い事をしないという選択肢があってもいいと思います。
今日は、チャイルドコーチとして、元小学校教員として「なぜ、答えがないのか」をお伝えしたいと思います。お子さんの習い事でお悩みの方がいらっしゃったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【子どもの習い事問題】いつからはじめるか?
幼児教室などに通わせている方、はやくから親子スイミングをはじめている方、さまざまだと思います。周りが「習い事はじめたよ!」となると、なんだか習い事をはじめないといけないのではないか…と焦る気持ちになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
習い事は、子どもの可能性を伸ばしたり、新しい一面を発揮したり、学校や家庭では学ぶことができないことを学んだり…とたくさんのメリットがあります。でも、それは、「習い事をしなくてはならない」という理由にはなりません。
習い事をするためには、子どもが「やりたい」「習ってみたい」という気持ちをもっているかどうか、そして、継続して習いたいといったときの金銭面の保証、時間の保証があるかどうかも、考えた上で決めることが大切です。特に、はじめは「やりたい!」と言っていたけれど、はじめてみたら「思っていたのとは違った」ということもよくあるものです。
また、子どもの可能性を伸ばすため!といって、無理をして通わせるということも、あまりおすすめしません。子どもや親が無理をしていると、必ずその無理が、何らかの形であらわれてくるからです。
時間的にきびしい場合は、子どもが疲れている、イライラしている、学校の授業に集中できないなどの様子が見られはじめます。親が、金銭的に無理をして「子どものため」といって習い事を続けさせている場合、その「子どものため」がいつの間にか子どもの負担になっていることや、無理をしていることで親がイライラしたり、気持ちにも余裕がなくなったりすることもあります。
長期的に見て、親も子どもも無理がなく、楽しく、続けられることができる時期。それこそが、習い事をはじめるときだと思います。また、一時的な「やりたい!」かどうかを見極める方法として、体験レッスンや見学に行ってみることもおすすめです。長期的なお教室ではなく、地域の地区センターなどの短期教室などに行ってみてもいいですね。
【子どもの習い事問題】いくつ習い事をすればいい?
以前、娘の保育園のお友だちで、6つ以上の習い事をしている子がいました。週7日しかないので、少なくとも毎日習い事があるということになります。
当時、フルタイムで働いていたわたしにとっては「そのお母さん、すごい!」と思っていました。だって、仕事のかたわら、習い事の送迎もしているって、どれだけ大変なのだろう…と自分事として想像してみたら、「自分にはできない…」と強く感じてしまったんですね。
子どもの将来のことを考えて、いろいろな力をつけさせてあげたい。可能性の芽を育てたい!という気持ちは、とてもよくわかります。
ただ、その習い事を子どもがすべて「やりたい!」「楽しい」と思えているかどうか、そこも大切にしたいところです。
我が子は、保育園時代は、まったく習い事をしていませんでした。お友だちから誘われて「ピアノ教室行ってみる?」「ダンス、習ってみる?」と声をかけたことは何度かありましたが、すべて「NO」。
娘の気持ちを尊重して、習い事はしない幼児時代を過ごしました。習い事をしていない分、保育園で思いっきり集団生活を楽しみ、休みの日には好きなことに没頭して過ごしてきました。野原で野草摘みをしたり、散歩したり、廃材で自由に造形遊びをしたり、大好きなぬいぐるみとごっこ遊びをしたり…
ひらがなやカタカナ、数字なども、特に教えることもなく、遊びや絵本の中で自然に学んでいったようです。
これで、将来、習い事をたくさんやっている子と大きさ差ができるかどうか…は分かりませんが。親としては、これでよかったと思っています。少なくとも、自由な遊びの中からしか学ぶことができないことを学んでいることは実感しています。
つまり、習い事も自由でいい!ということ。
習い事をたくさんさせたい!そして、子どもも同じ気持ちであれば、たくさんしてもよし。逆に、周りが習い事をしているからといって、焦ることもなし。ということです。
ただ、大人の感覚と子どもの感覚は少し違うところがあります。大人であれば、一度にたくさんの作業をすることができますが、子どもはまだまだ未発達。一度にたくさんのことを学ぶことにストレスを感じたり、気持ちに余裕がなくなったりする子もいます。子どもの小さなサインを見逃すことなく、習い事が多すぎたときには、すぐに「やめてもいいよ」という気持ちも大切です。
【子どもの習い事問題】習い事はどんなものがいい?
よく「親が習わせてよかった習い事ランキング」「子どものころに習いたかったものランキング」などを目にすることがあります。
もちろん、それらを参考にすることは悪いことではありません。
でも、一番大切なことは「親が何を習わせたいか」ではなく「子どもが何を習いたいか」だと思います。
子どもの気持ちを差し置いて、親が「これやってみる?」「これ、いいんじゃない?」とあまりセールスしすぎると、子どもの気持ちが「じゃ~、やってみようかな」と傾くことがあります。もちろん、それはあくまできっかけなので、やってみて子どもが夢中になる!ということもあるでしょう。
でも、やってみて「やっぱり、つまらない」となったとき、「自分ではじめると言ったのだから、1年間は続けなさい!」のような形になってしまうのは避けた方がいいでしょう。長く続けることで楽しさをじんわり実感していくものもあるかもしれませんが、経験上「楽しくない」と一度感じてしまったことを「楽しい」に変えるのは、なかなか大変なことです。
子どもが「楽しい」「もっとやりたい」「続けたい」と思うものを習わせること。これが、習い事選びで大切なことではないでしょうか。
親自身が子どものころに習いたかったものを子どもに習わせたい!
親自身が習っていてよかったものを習わせたい!
その気持ちもよくよく分かります。わたしも、ピアノをずっと習っていたので、娘にも…と思ってはいましたが、残念ながら、今のところ娘はピアノにあまり興味はないようです。
その代わり、思いもしなかった「体操」に通いたいと言い出し、短期で教えてくれる体操教室に通うことになりました。実は、娘は「体操」が苦手…。それなのに「習いたい」と言い出したので、親としては驚きました。きっと「苦手を克服したい」という前向きな気持ちの表れ。でも、ずっと続けたいかどうかは未知なので、とりあえず短期教室に通うことにしました。
こんな習い事のはじめ方もあっていい。習い事の種類によっては、長期間積み重ねることでスキルが身につくものもあります。でも、わたしは、そこに、子どもの「気持ち」があるかどうかを大切にしたいと思っています。
【まとめ】子どもの習い事問題の答えは、すべて「子どもの気持ち」にある
情報社会の今、「あれがいい」「これがいい」とたくさんの情報が簡単に手に入ります。でも、それを取捨選択することができる時代でもあります。
子どもの習い事、どうしよう…と悩んだときには、その答えはママ友の声やネット上にはありません。目の前にいる「子どもの心」にあると思っています。
ぜひ、子どもの気持ちに寄り添って、習い事選びをしてみてくださいね。はじめる時期も、何をはじめるかも、「絶対これがいい!」というものはありません。一人ひとり気持ちが違う、好き嫌いが違うように、絶対的な答えがある方がおかしいと思いませんか。
昭和アナログ世代にとって、こんなに多様な習い事があることはうらやましいことでもあります。でも、一方で遊ぶ時間がない、自由に木登りもできない環境で育っている今の子どもたちを見ていると、少しかわいそうにもなります。
習い事で悩んだときには、まず子どもに聴いてみる。子どもの様子を観察してみる。自分自身、家計のことも考えてみる。答えは、すべて子どもと自分の中にあるはずです。
そのときに、忘れてはいけないのが「他と比べない」こと。今まで、たくさんの子どもたちを見てきましたが、習い事をしていないからといって、とりわけ大きなデメリットがある子を見たことがないので、大丈夫です。
習い事をするかどうかで悩んでいる方には、以前のコラムも参考になるのではないかと思います。習い事をちょっと違った視点からみることができるのではないでしょうか。
目の前にいるお子さんが生き生きと生活できますように!
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